私が21歳の頃、前職を辞め仕事をしていなかった時期があり、新聞折込の求人広告で単純に家から近いという事と、いくつか経験のある建設業系の仕事の中で1年程度経験のあった「外壁サイディング施工」という事で、個人でやっている親方職人さんのところにお世話になることになりました。親方以外の先輩は1人、私が入ることで3人という本当に小さな職場でした。
私は集合時間の朝6:30から夜19時頃に解散するまで自分なりに必死に仕事をしました。早く仕事を覚えたい!1件の現場を自分で任されるようになりたい!そして3人という小さな職場に私の後輩も増やしていきもっと会社のように大きくしたい!そんなことを考えながら頑張っていたように記憶しています。
結果的には1年半を経たずして退職することになります。そして累計2年半に満たない外壁サイディング職人としての経験で独立チャレンジする事になるのですが、前向きに努力を続けていた私がその親方の元を離れる事になった原因は2つありました。

1つはたまに親方が立飲み酒場などに連れて行ってくれた時にいろいろ話をするのですが、そういう時に私はいつも、自分がある程度仕事を覚えたら人を入れてほしいです!とか、ひとつの工事会社からの仕事にしがみつかず、もっといろんな展開をした方が会社として成長する可能性がありそうな気がします!とか、人が増えて来たら僕がその新人を連れてたくさん現場を収めてきます!とか、今思うと若々しさは否めませんが成長意欲をガンガン出して親方に話していたのですが、いつも返事は、子方であるてっちゃん(私)はそんな事考えんでいい。そればかりでした。私はその事に不満というか、なぜ親方は「よし!てっちゃん!お前がそう言って頑張るなら俺も頑張っていくからどんどん頑張れ!」など言ってくれないのか理解できないでいました。そんなある時、親方のことをよく知る他の職人さんに親方が言っていた事としてこんな事を聞きました。「お前のとこの親方は自分で月に80万円稼ぎ続ける事を目標にやっていて、子方に求める事もその為に働いてくれるだけでいいと思っている。てっちゃんにあ~だこ~だ会社を大きくしましょう!とか言われたいわけではなく、お前に支払う給料以上に現場を収めて欲しいだけだと思うよ。」私はなんとなくショックでした。その頃は給料が安く、今考えると40~50万円は最低でも稼げるくらい現場を進めれるレベルだったのに、外注扱いの日給計算で多くて月23万円、連休や悪天候が続いた月などは16.17万円という月もありました。勿論、社会保険や厚生年金、源泉などもありませんでした。他で働く職人さんよりも安めであることは知っていましたが、ここの職場を大きくしよう!と燃えていた私は「隣の芝生は青く見えるものだ」と我慢していました。しかし、その親方の知人の話を聞いてその炎が消えてしまったのです。

もう1つはそんな事があって心の炎は消えたものの、自分が辞めれば困るだろうな~など考えたり、だからって他に何かしたい!というのも無かったので、半分迷いながら仕事を続けていました。そんなある給料日。個人親方だったので会社事務所というものはありませんでしたので、いつも親方が住むマンションで集合し現場に行っていました。給料日はそのマンションの駐車場に帰ってきてから親方が一度自宅に戻り、おそらく奥さんが準備していた給料を持って下りてきて渡してくれるというのが慣習でした。その日親方は夜に友人とだったか約束があるという事で急いでいるという事でしたが、私はいつもの様に駐車場で待っていました。そしたら小学校4年生くらいの親方の娘さんが下りてきて「はい。ご苦労さま。」と私に片手で無造作に給料袋を手渡しました。え!?私はあっけにとられ「お父さんは?」と尋ねると「お風呂に入ってる」という返事でした。「・・・・・」私は何故か悔しいというか、自尊心を踏みにじられたような気持ちになりました。たった5分下りてきて「ごくろうさん」と給料を渡してやらないと、という気持ちも親方は私に持ってくれていないんだって。

そして私はこの親方の元を離れようと決めました。現場ではいろいろと教わり、その後、幾多の現場を乗り越えられたのも親方のおかげと何度も思い出したことがあります。そういった意味では感謝してもしきれません。しかし自分の生涯をかけたい理想の親方ではありませんでした。そして自分が尽くしたい理想の親方がなかなかいないのであれば自分が親方になろう!そう思った瞬間でもありました。そして求人広告で外壁サイディング職人を募集している工事会社を見つけ、雨で仕事が休みの日に面談しに行き、今の状況や自分の仕事レベルについて説明するとあっさり受注をいただく事ができました。ここの社長にも大変お世話になったのでまた書きたいと思いますが、その翌月私の銀行口座に振り込まれた仕事の報酬は67万円でした。私は初めて自分の努力が直接成果となる喜びを感じました。こうしてリュウソークリエイトの全身である「シロタ建装」が誕生したわけでございます。

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