そこそこの工事量をするようになって少し落ち着いてきたころ、私が手間請負の時にお世話になっていた工事会社の職人さんが仕事があるなら頂戴!と当社の仕事をやってくれる人も出てきました。常時人手は足りない状況だったので嬉しい限りでした。更に親交のあった職人さんにも声をかけて仕事をしてもらったりしていました。自分の理屈では職人さん本人の意思と、当社の都合上強引に誘ってるわけではないし致し方ないという認識でしたが、それを知った工事会社の社長は職人の引き抜き行為をしているという事で怒ってしまいました。

その社長には随分お世話になり、独立当初からほとんど切れることなくお仕事を与えてくれましたし、プライベートでもお酒を飲んだり、釣りに誘っていただいたり決して不義理をしたいなんて思っていませんでした。しかし結果的には先ほども書いたように私にも事情があり、無理やり誘っている訳ではないという理由(言い訳)からその状況を受け入れるしかありませんでした。その後、工事会社の集まりなどにも参加するようにもなっていた私は、社長を見かける度に会釈をしましたが無視されてしまうのです。
更には同業者である私を敵だと仰っていた噂も聞き、いつまでもウジウジしていてはいけないなと思い、3年と期間を決め、その間はお見掛けしたら頭を下げようと決めました。結局その期間に声をかけていただくことはできず、その会社を離れて3年経ったころから私も会釈をすることをやめました。恩義のない人間に思われるかもしれませんが、私も人の上に立ち経営者としてチャレンジを続ける日々でしたので、3年という期間は別としてそこで線を引いたのです。会社経営も3年経てど大変で、恩人に無視をされたからといってめそめそしていられなかったという事もあったんだと思います。

ところが昨年、そのお世話になっていた会社の社員さんと会った際に、社長がガンの手術をしたと聞いたのです。早期発見もあり大事には至らなかったとは聞きましたが一瞬で自分が心変わりしたことがわかりました。「経営者としてめそめそとしてられない、同業者の敵と言うならそれも本望!」と息巻いてた自分が若かったんだなと感じました。自分の言葉で謝ってでも、誤解については弁明してでもまた社長に会いたい!そう思いました。思い返せば顔を見ても言葉も交わさなくなってから12年以上の月日が流れていました。本当にあっという間でした。

そして会社を訪れ、久しぶりということで緊張しながら面談を果たしました。そして引き抜き行為の様なことになってしまったことを謝り、悪意はなかったことを伝えると社長はすぐに「その言葉でこの件は済んだ。長かったの。俺もそのことだけ怒ってたんや。俺も大人げなかったすまんの。」そう言ってくださいました。とても嬉しかったです。
人生のうちでお世話になった人、恩人と呼べる人、果たしてそういう人に何人お目にかかれるんでしょう。そんな貴重なご縁を今後は失うことのないように生きていきたいと思っています。
今後はまたご縁をいただけましたので、その社長と何かお仕事でも絡めたらな、、、そう思っております。

STANDARD LIFE by RYUSO



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